平成29年度市民税・県民税の変更点について
給与所得控除の上限額の引き下げ
- 給与所得控除が見直され、給与所得控除の上限が適用される給与収入額が1,500万円以上(控除額245万円)から1,200万円以上(控除額230万円)に変更となりました。
平成26年度~ 平成28年度まで |
平成29年度課税分以降 | |
上限額が適用される給与収入額 | 1,500万円以上 | 1,200万円以上 |
給与所得控除額 | 245万円 | 230万円 |
住宅借入金等特別控除
- 住宅借入金等特別控除の適用期限が、令和3年末(改正前は令和元年6月30日まで)に居住したものまで、2年6か月延長されることとなりました。
※詳しくは「市民税・県民税の住宅ローン控除について」のページをご覧ください。
金融所得課税の一体化
- 公社債の課税方式の変更
これまで公社債等については、利子、譲渡、償還によって課税の仕組みが異なっていまし
たが、平成29年度市民税・県民税より、課税の方式を株式等の課税方式と同一化することと
されました。
公社債については、特定公社債と一般公社債に区分した上で、課税方式が変更されます。
特定公社債とは・・・国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公社債、平成27年12月
31日以前に発行された公社債などの一定の公社債をいいます。
特定公社債等 | 一般公社債等 |
特定公社債 | 特定公社債以外の公社債 |
公募公社債投資信託の受益権 | 私募公社債投資信託の受益権 |
証券投資信託以外の公募公社債投資信託の受益権 | 証券投資信託以外の私募公社債投資信託の受益権 |
特定目的信託の社債的受益権での公募のもの | 特定目的信託の社債的受益権での私募のもの |
・特定公社債等の利子は、源泉分離課税から申告分離課税に統一されます。
・一般公社債等の利子等については、源泉分離課税が維持されます。
・特定公社債等の譲渡益については、非課税から申告分離課税に課税方式が変更されます。
・平成28年1月1日以後行う割引債の償還及び譲渡については、申告分離課税とされます。
平成27年12月31日以前に発行され償還差益が発行時に源泉徴収の対象とされたものに
ついては、市民税・県民税は非課税となります。
改正前 | 改正後(平成29年度市民税・県民税~) | |||
内容 | 所得区分 | 公社債等 | 特定公社債等 | 一般公社債等 |
利息 利子 |
利子所得 |
源泉分離課税 (市民税・県民税5%) (申告不要) |
申告分離課税 (市民税・県民税5%) ・申告不要を選択した場合、譲渡損失との損益通算はできません。 |
源泉分離課税 (申告不可) |
売却益 譲渡損益 |
譲渡所得 | 非課税 |
譲渡所得として申告分離課税 (市民税・県民税5%) ・源泉徴収ありの特定口座は申告不要 ・確定申告により、3年間損失の繰越控除が可能 |
譲渡所得 として 申告分離課税 (市民税・県民税5%) |
償還差益 |
雑 所得 |
総合課税 (市民税・県民税10%) 割引債は源泉分離課税(市民税・県民税は非課税) |
※特定公社債等の利子等については、利子割の課税対象から除外した上で、配当割の課税
対象とされます。
※源泉徴収ありの特定口座内の特定公社債等の譲渡所得として申告した場合、株式等譲渡
所得割の課税対象とされます。
- 損益通算、繰越控除
平成29年度市民税・県民税より、従来可能であった「上場株式等」と「一般株式等
(未公開株式等)」の間での損益通算ができなくなり、以下の区分による損益通算、
繰越控除制度に変わりました。
区分 |
各区分内の 損益通算 |
各区分内の 繰越控除 |
特定公社債及び上場株式等に係る譲渡所得等の 分離課税 (申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得との損益通算も可能) |
○ | ○ |
一般公社債等及び一般株式等(未公開株式等)に係る譲渡所得等の分離課税 |
○ | × |
※平成28年度以前に生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額で、平成29年度以降に繰り
越されたものについても、一般株式等にかかる譲渡所得等の金額から繰越控除すること
はできません。
※特定口座の手続きにつきましては金融商品取引業者等、申告関係の手続きにつきまして
は管轄の税務署にお問い合わせください。
日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類の添付等義務化
- 平成28年1月1日以後に支払われる給与等又は公的年金等、平成28年分以後の所得税及び復興特別所得税の確定申告、平成29年度以降の市民税・県民税の申告等において、国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受ける場合には、「親族関係書類及び送金関係書類」を添付又は提示しなければならないこととなりました。
「親族関係書類」とは
次の(1)又は(2)のいずれかの書類(当該書類が外国語で作成されている場合には翻訳文を添付)で、国外居住親族が納税者の親族であることを証するものをいいます。
(1)納税者の国外居住親族が日本人である場合
・戸籍の附票の写し、その他国又は地方公共団体が発行した書類及び当該国外居住親族の旅券の写し
(2)納税者の国外居住親族が外国人である場合
・外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類
(その国外居住親族の氏名、生年月日及び住所の記載があるものに限る。)
「送金関係書類」とは
その年における次の(1)又は(2)の書類 (当該書類が外国語で作成されている場合には翻訳文を添付)で、その国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払いを必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをいいます。
(1)金融機関の書類又はその写しで、金融機関が行う為替取引により、納税者からその国外居住親族に支払いをしたことを明らかにする書類(送金依頼書など)
(2)いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、クレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと、及びその商品購入代金に相当する額を納税者から受領したことを明らかにする書類(クレジットカード利用明細書など)
