上場株式等の所得がある場合の申告について
上場株式等の所得がある場合の申告について
上場株式等の所得がある場合の課税方式の選択について
個人が受け取る株式等の配当等の所得や、個人が株式等を譲渡した際の譲渡所得等については、申告した内容に応じて課税されます。
ただし、上場株式等の配当所得や、「源泉徴収あり」を選択した特定口座内で生じた上場株式等の譲渡所得等については、受取時に市民税・県民税(以下「住民税」)が特別徴収(天引き)されているため、申告をする必要はありません(申告不要制度)。
平成29年度の税制改正により、これらの所得について、所得税及び復興特別所得税(以下「所得税」)の確定申告と住民税の申告とで、それぞれ異なる課税方式を選択できることが明確化されました。
(例)
上場株式等の配当所得500,000円、源泉徴収あり特定口座の譲渡所得80,000円がある場合
(所得税)配当所得500,000円→総合課税、譲渡所得80,000円→分離課税で申告。
(住民税)配当所得も譲渡所得も申告不要制度を選択し、申告せず。
所得の種類 | 選択できる課税方式 | |||
(1)上場株式等の配当所得 |
総合課税 |
申告分離課税 | 申告不要制度 | |
(2)上場株式等の譲渡所得等 (源泉徴収ありの特定口座内のもの) |
- | 申告分離課税 | 申告不要制度 |
(1)上場株式等の配当所得
・総合課税を選択する場合
住民税の税率が10%になりますが、配当控除を適用することができます。また、申告した配当所得金額は合計所得金額、総所得金額等に算入されます。
・申告分離課税を選択する場合
住民税の税率は5%となり、特別徴収の場合と変わりません。上場株式等の譲渡所得等と損益通算ができます。総合課税の場合と同様に、申告した配当所得金額は合計所得金額、総所得金額等に算入されます。
・申告不要制度を選択する場合
税率5%の特別徴収により、課税は終了します。また、配当所得金額は、合計所得金額、総所得金額等に算入されません。
(1)上場株式等の配当所得 | 課税方式 | |||
総合課税 | 申告分離課税 | 申告不要制度 | ||
税率 | 所得税 | 累進課税率 | 15.315% | 15.315% |
住民税 | 10% | 5% | 5% | |
配当控除 | あり | なし | なし | |
配当割額控除 | あり | あり | なし | |
上場株式等に係る譲渡損失との損益通算 | できない | できる | (※1) | |
不動産所得、事業所得等に係る 損失との損益通算 |
できる | できない | できない | |
合計所得金額への算入 | 算入 | 算入(※2) | 算入しない |
(※1)同一の源泉徴収口座内の上場株式等の配当所得と上場株式等の譲渡損失は、その
源泉徴収口座内で損益通算されています。
(※2)上場株式等に係る譲渡損失と上場株式等の配当所得との損益通算を適用している
場合は、その適用後の金額で、かつ、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の適
用前の金額になります。
(2)上場株式等の譲渡所得等(源泉徴収ありの特定口座内のもの)
・申告分離課税を選択する場合
住民税の税率は5%となり、特別徴収の場合と変わりません。上場株式等の配当所得と損益通算ができます。申告した上場株式等の譲渡所得等金額は合計所得金額、総所得金額等に算入されます。
・申告不要制度を選択する場合
税率5%の特別徴収により、課税は終了します。また、上場株式等の譲渡所得等金額は、合計所得金額、総所得金額等に算入されません。
(2)上場株式等の譲渡所得等 (源泉徴収ありの特定口座内のもの) |
課税方式 | ||
申告分離課税 | 申告不要制度 | ||
税率 | 所得税 | 15.315% | 15.315% |
住民税 | 5% | 5% | |
株式等譲渡所得割額控除 | あり | なし | |
上場株式等に係る譲渡損失との損益通算 | できる | (※3) | |
合計所得金額への算入 | 算入(※4) | 算入しない |
(※3)同一の源泉徴収口座内の上場株式等の配当所得と上場株式等の譲渡損失は、その
源泉徴収口座内で損益通算されています。
(※4)上場株式等に係る譲渡損失と上場株式等の配当所得との損益通算を適用している
場合は、その適用後の金額で、かつ、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の適
用前の金額になります。
異なる課税方式を適用する場合の手続きの方法
所得税の確定申告とは別に、住民税の申告が必要となります。住民税の申告がされていない場合は、所得税と同じ課税方式で住民税は課税されます。
・申請書類
「市民税・県民税申告書」
「上場株式等の所得に関する課税方式申出書」
(申告書等は、「個人市民税の申告」のページよりダウンロードすることができます。)
・添付書類
所得税の確定申告書の控(付表も含む)の写し、特定口座年間取引報告書の写し、など
・申請期限
「市民税・県民税税額決定・納税通知書」または「市民税・県民税特別徴収税額の決定通知書」が送達されるときまで
(注意:送達後に申請をしても適用することはできません)
上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除について
次にあげる所得税の確定申告については、「市民税・県民税税額決定・納税通知書」または「市民税・県民税特別徴収税額の決定通知書」が送達されるときまでに申告書を税務署に提出してください。
- 当該年度に生じた譲渡損失を、当該年度の申告分離課税を選択した配当所得や譲渡所得と損益通算するための申告
- 当該年度に生じた譲渡損失を、翌年度以降に繰り越すための申告
- 前年度までに繰り越した損失を、当該年度の申告分離課税を選択した配当所得や譲渡所得から控除するための申告
- 当該年度に譲渡がなかった場合において、前年度までに繰り越した損失を、翌年度以降に繰り越すためだけの申告
(注意:送達後に申告をしても住民税では損失額の適用をすることはできません)
(例)
「平成30年度 市民税・県民税税額決定・納税通知書」が手元に届いた後で、平成29年分以前に生じた上場株式等の譲渡損失を繰り越すための所得税の確定申告を行ったとしても、平成30年度住民税の内容に譲渡損失は含まれず、平成31年度住民税を算定するうえで譲渡損失の繰越控除を適用することもできない。
その他注意点など
- 「源泉徴収あり」を選択した特定口座内で生じた配当所得または譲渡所得等を申告するか否かについては、口座ごとに選択することができます。
- 「源泉徴収あり」を選択した特定口座内での譲渡損失について申告分離課税を選択した場合、同一口座内の配当所得を申告不要とすることはできません。 (同一口座内の所得全てを申告する必要があります。)
- 申告不要制度の対象となる配当所得や譲渡所得等について、申告することを選択した場合は、扶養等の認定、住民税非課税判定、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料、介護保険料(自己負担割合含む)の算定、各種給付金の受給判定などに影響を及ぼす可能性があります。詳しくは、各種担当窓口でご相談ください。
