ピアニスト 野々村 亜梨沙さん
縁の輪2024 -移住・定住編-
高砂市で活躍する人物やゆかりのある人物にフォーカスし、人々の活躍を通して本市の魅力をお伝えしていきます。
ピアニスト 野々村 亜梨沙さん
一人でも多くの人に、もっと気軽に音楽を楽しんでもらいたい。そんな思いを胸に、ポーランドでの留学を経て、ピアニストとして活躍する野々村亜梨沙さんにお話を伺いました。
これまでの経歴

映画〈にしきたショパン〉撮影時の写真
母がピアノ教室をしていたこともあって、3歳からピアノを始めました。県立西宮高校音楽科、東京音楽大学に進学して、そのあとにポーランドのショパン音楽大学に4年間留学しました。
留学を終えた後は地元の高砂市に戻り、関西を中心にコンサート活動やピアノ講師などをしています。2021年に公開された映画「にしきたショパン」では、主人公のライバル役を演じさせていただきました。
ピアニストになろうと思ったきっかけ
小さいころからピアノの練習が生活の一部であり日常でした。そのため、ピアノが好きとか嫌いという感覚はありませんでした。
小学3年生の時に、日本のコンクール(予選会)で金賞を受賞し、アメリカのシンシナティで開催される国際コンクールのジュニア部門の本選に挑戦することになりました。結果はセミファイナルでとても悔しく、両親に「来年も挑戦したい」とお願いしたのを今でもはっきりと覚えています。それから一年間、1位を獲ってカーネギーホールで演奏したい一心で自ら望んで練習し、翌年のコンクールでカテゴリー1位とジュニア部門の全カテゴリーからグランプリにも選ばれました。そして入賞者コンサートで、念願のニューヨークにあるカーネギーホールのリサイタルホールで演奏することができました。世界中のピアニストが憧れるホールの舞台に立つことができて、ピアニストになりたいと初めて思った瞬間でした。
その後も受験や高校、大学と練習の日々を過ごしました。それと並行しながら、実は短期間ピアノ以外のことにも挑戦しました。それを経験したことで今まで以上に視野が広がり、私がなりたいピアニストのスタイルを考えはじめるきっかけにもなりました。
また、小学生のころから海外留学を勧められていましたが、大学生の時に「留学して新たな環境でもっと勉強したい」と思うようになり、ピアノも好きになっていきました。
いざ、ポーランドへ!
留学したいと思ったのは大学3年生の秋ごろでした。まずは講習会に参加しようと調べたところ、ヨーロッパの音楽学校は夏の開催がほとんどでした。ポーランドのショパン音楽学校では冬にも開催されていたので、もともとショパンが好きだった私は、まずはポーランドへの参加を決め、夏には別の国にも行ってみようかなと思っていました。実際に行ってみるとポーランドはとても素敵な国で、「ショパンの母校のショパン音楽大学で学びたい!」と思いました。試験の課題である1時間のコンサートプログラムを考え、受験までより一層練習の日々を過ごし、大学卒業後にポーランドへ留学しました。
留学までに一年ほどポーランド語の練習をしましたが、とても難しく言葉の壁がたくさんありました。現地のスーパーで手に取った商品が何なのかわからず、辞書で確認しながら買い物をしました。
大学でのレッスンは最初は英語でしたが、半年後からはポーランド語になりました。日常生活やレッスンの中で一つ一つ言葉を覚えていきました。
留学してこそ得られたもの
ポーランドでは、クラシックが日常に浸透しています。毎日さまざまな場所でクラシックコンサートが開催され、気軽にクラシックを聴くことができます。夏には、ショパン像のある「ワジェンキ公園」や「ショパンの生家」で、有名なピアニストから若手までが演奏するピアノコンサートが無料で開催され、芝生に寝転がりながら聴くこともできます。季節の移ろいや歴史を肌で感じながら勉強できてとてもよかったです。そして、留学中が一番ピアノを練習していました。
植物園でのリサイタルのプログラム。
ポーランド語で書かれています。
また、留学中にはたくさんの出会いがありました。イタリアで受けたコンクールでは、審査員の先生に「スペインでリサイタルしませんか」とお誘いしていただいたり、教授の推薦で植物園でのリサイタルに出演させていただきました。帰国前には、スタインウェイのサロンでリサイタルを開催し、現地で出会ったお友達、先生方、駐在の方々、たくさんの方が聴きに来てくださいました。
帰国後は、日本・ポーランド国交樹立100周年記念で開催された「ショパン展」のオープニングコンサートで、1時間のオールショパンプログラム、ポーランドフェスタやショパン協会主催のコンサートなど、さまざまな場所でコンサートをさせていただいています。
ポーランドから地元へ
ポーランドでの生活は快適でしたが、永住は考えていなかったので、高砂市に帰ってきました。関西を中心にコンサート活動をしながら、母が主催するピアノ教室でピアニストを夢見るお子さんから趣味でピアノを楽しまれている方まで、楽しくレッスンしています。

コンサートでピアノを演奏する野々村さん

もっと気軽に音楽を楽しんでもらいたい
日本ではクラシックの敷居が高いとよく耳にします。ヨーロッパのように、気軽にコンサートにお越しいただいて、音楽っていいな♪と思っていただける、楽しいコンサートを企画しています。
今まで研鑽を積んできたクラシックはもちろん、映画音楽やJ-POPなど皆さんがよく知っている曲を演奏します。実は、東京と関西で開催日まで決定していましたが、新型コロナで泣く泣く断念することになった幻のコンサートのプログラム構成は、第1部はドレスでクラシック、第2部は衣装もチェンジしてエンターテイメントコンサートでした。
新しい形の活動も
昨年10月下旬に新たな出会いがあり、ライブ配信を始めることになりました。リクエストをいただいてピアノを弾いたり、リスナーの皆さんと楽しくおしゃべりしたり、ダジャレを言い合ったり(笑)
ジョークを交えながら楽しんで音楽に触れる、私がコロナ前にやりたいなと思っていたコンサートの形が、ライブ配信で実感することができました。リスナーの皆さんには生音の良さも体感していただきたいので、コンサートにもお越しいただけるように頑張っています。
コンサート活動やピアノ講師、そしてコンサート曲やリクエスト曲の練習をしながら配信をしているので、寝る時間もないほど忙しい日々を過ごしているのがうれしい悲鳴です!
今後の活動・目標
関西・東京から主要都市、そして全国ツアーや海外公演ができるよう、夢や目標は大きいほうがかなえられると思っています。
まずは「エンターテイメントコンサート」やコロナ以降ストップしている「ホテルでのディナーコンサート」のどちらかを今年中には開催したいなと思っています。
そして、地元の高砂市でもリサイタルをしたいです。
音楽の素晴らしさ、コンサートを楽しんでいただくにはどうすればいいかなと常に考えながら活動していきたいです。コンサートでお会いできます日を楽しみにしております♪
プロフィール
高砂市生まれ、高砂市在住。西宮高校音楽科、東京音楽大学を卒業。ポーランド国立ショパン音楽大学研究科修了。ピアニストとしてポーランド、スペイン、日本でリサイタルを開催。
映画「にしきたショパン」の道川真理子(ライバル役)を演じるなど、モデルや音楽教室など多岐にわたって活躍している。【取材:令和7年2月13日】
更新日:2025年03月05日