施政方針(令和7年3月定例市議会)

更新日:2025年02月25日

1 はじめに

本日ここに、3月定例市議会を開催いたしましたところ、議員の皆様にはご出席を賜り、まことにありがとうございます。

令和7年3月定例市議会の開会にあたり、令和7年度の市政運営に対する私の所信の一端を申し上げ、市議会議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

まずは、現時点における本市の最重要課題である高砂市民病院について申し上げさせていただきます。

高砂市民病院は高砂市域の中核病院として、これまで市民の健康・いのちを守ってまいりました。

私が市長に就任した令和2年から新型コロナウイルス感染症の流行が始まりましたが、市民病院は陽性患者の入院対応、PCR検査、ワクチン接種等、全てのコロナ対応医療を実施し、公立病院としての使命を十分に果たしたと考えております。

しかしながら、専門医制度の発足や常勤医師の高齢化により医師確保が困難となったことなどから、依然として厳しい経営状況が続いており、将来的に持続可能な経営基盤の確立に向けた方向性を検討した「高砂市民病院将来構想」を令和6年1月に策定いたしました。

「高砂市民病院将来構想」では、原則として将来予測は令和8年度中に行うこととしておりましたが、令和6年度決算見込みや令和7年度における単年度資金不足見込み、医師の確保状況等を総合的に判断し、令和7年度に前倒しして行うという決断をいたしました。

この将来予測において、新病院の開院予定年度以降10年間の平均基準外繰出金が4億円程度を維持することができる場合は、公設公営の高砂市民病院として運営を続けたとしても持続可能な財政運営ができる範疇と判断いたしますが、維持できない場合は、経営形態を見直し、持続可能な経営基盤の確立を目指してまいります。

新興感染症や将来、発生が予想されている南海トラフ地震などの災害発生時においても市民の皆様に安心していただけるよう、私は、高砂市に市民病院は必要であると考えております。将来予測の結果を踏まえ、経営形態についても判断することとなりますが、医師確保をはじめとした経営改善に向けた努力は引き続き行ってまいります。

2 基本的な取組方針

平成26年に、人口減少・高齢化や東京圏への一極集中に歯止めをかけ、地方の活性化を図る「地方創生」が政府から打ち出され、令和6年12月には、その新たな考え方である「地方創生2.0」が示されました。

地方創生2.0の基本的な考え方にもあるように、地方創生が10年前に開始されて以降、全国各地で様々な地方創生の取組が行われたものの、人口減少や東京圏への一極集中の流れを変えるまでには至っておらず、本市におきましても、若い世代、特に20歳代の転出超過が顕著な状況が続いております。

また、全国的に人口減少・少子高齢化が避けられない時代を迎えているなか、このような事実を正面から受け止めたうえで、公共サービスを維持しながら、未来に向けた持続可能なまちづくりを進めていかねばなりません。

まちの魅力を高め、多くの方に選ばれる「住みたいまち高砂」を創ることが、持続可能なまち、そして、私が任期2期目で目指しております、全ての世代の「笑顔あふれるまち たかさご」に繋がっていくものであり、この2期目が、高砂の未来に大きく影響を与える転機であると考えております。

5年、10年では終わらない大きな事業もございますが、ひとつひとつを積み重ねていくことにより「笑顔あふれるまち たかさご」を実現できるよう、積極的に取り組んでまいります。

以上の基本的な取組方針のもと、令和7年度の行政運営において、大きく歩みを進めていきたい取組を、3つの重点的な施策として申し上げます。

3 重点施策

【1 快適で住みよい住環境の整備】

一つ目の重点施策は、「快適で住みよい住環境の整備」です。

若い世代の転出超過が、本市における長年の課題となっておりますが、若い世代が住む場所を選択する際には、家賃や間取り、築年数などの物件に関する条件のほか、最寄り駅までの移動時間や通勤・通学時間、立地や周辺環境など、日々の生活が便利である環境を求めているものと考えます。

このような快適で住みよい住環境を整備していくにあたり、特に鉄道駅については、まちの玄関口と表現されることが多いように、市の顔、市のイメージを象徴するものであるほか、まちの内と外を繋ぐ重要なものであり、都市部への交通拠点、地域の活動基盤としても重要なものであることは間違いありません。

駅周辺整備事業を更に推し進め、居住ニーズやライフスタイルに合わせた日常生活の利便性向上による都市機能の充実に加え、楽しく余暇を過ごせる環境や将来に続くクリーンな自然環境、市内を快適に移動できるインフラ環境など、日々の暮らしに豊かさを与える環境を整えることにより、コンパクトでありながらも快適で住みよい、魅力あふれるまちづくりを目指してまいります。

特に、駅周辺整備事業につきましては、昨年6月18日にJR西日本と自由通路等整備及び駅舎橋上化に関する基本協定を締結いたしましたJR曽根駅周辺整備事業において、令和7年度は仮駅舎の設置に着手いたします。

また、駅の南側に接する春日野・牛谷準幹線道路についても拡幅工事を行い、市民の皆様には、JR曽根駅及び周辺が新しく生まれ変わっていく様子を見ていただけるかと思っております。令和10年度早期の供用開始を目指し、事業を進めてまいります。

また、連続立体交差推進事業においては、現在、兵庫県及び山陽電気鉄道株式会社と検討を進めているところです。令和7年度は、都市計画決定の手続きに向けた準備として、駅前広場や周辺道路の設計に取り組み、交通渋滞及び踏切事故の解消や駅周辺の活性化を目指してまいります。

行政だけでまちを大きく変えていくことはできません。まちの変化のきっかけ、兆しを行政が示し、その変化を感じた市民の皆様のまちの見方が変わることで、土地の活用が加速化する。このような私の想いのもと、まちを変える大きなうねりを生み出す発端として、これらの大型事業を推し進めたいと考えております。

次に、地球温暖化対策推進事業においては、令和6年度に実施し、多くの申し込みがあった省エネ家電への買い替えに対する補助事業を、令和7年度は拡充して行い、家庭部門の温室効果ガス排出量削減を推進してまいります。

地球温暖化対策は、本市にとっても重点課題のひとつであり、ゼロカーボンシティの実現に向けて様々な取組を多面的に推進する必要があります。

本市では、広域行政における取組として、エコクリーンピアはりまが発電するCO2フリーの電力を東播磨2市2町の公共施設に有効活用することで、地域内での再生可能エネルギーを循環させる、電力の地産地消事業を先導的に検討してまいりました。

令和7年度は、電力の地産地消事業を推進させるための新たな取組として、2市2町による「地域新電力会社」を立ち上げることに向けて取り組んでまいります。

次に、体育施設整備事業においては、かねてより課題であった高砂市野球場の手書きスコアボードを電光掲示板に改修するとともに、グラウンドの排水等改修整備を行います。

誰もが安全・安心にスポーツに親しむことができる施設整備を進め、「すべての市民が生涯にわたってスポーツを楽しめるまち高砂」の実現に向けて取り組んでまいります。

次に、自転車道等整備事業及び交通安全対策事業においては、良好な自転車通行空間を整備するとともに、リアルタイムで車両の接近を表示し、安全運転の注意喚起を促す看板であるデジタルサイネージを設置することにより、通行空間の安全利用を図ります。

次に、コミュニティバス運行事業においては、市ノ池・高御位山観光ルート運行について、平日1日の運行を追加することにより、市内観光資源へのアクセスを向上させ、地域住民の移動手段を確保してまいります。

次に、移住・定住・若者推進事業においては、若者のUターンについて補助対象を拡充することにより、若者の転出超過を抑制し、地域の担い手を確保してまいります。

【2 健康で元気に暮らせるまちづくり】

二つ目の重点施策は、「健康で元気に暮らせるまちづくり」です。

快適で住みよい住環境を整え、移住が促進したとしても、そこから定住に繋がらなければ意味がありません。移り住み、本市に定住していただくためには、高砂市に住み続けたいという、その後の暮らしにおいて、将来のビジョンが描けるまちであることが重要です。

市民の皆様が将来のビジョンを描くにあたって、災害や犯罪から身を守り、健康で元気に暮らしていくことは、幸せに暮らしていくための基本であると考えますが、激甚化・頻発化しております災害や様々な脅威から、市民の生命や健康、財産を守ることは市の責務であります。

健康に暮らしていくための「予防・医療・緊急時の対応」、また、近年、特に活動が活発になってきている大規模地震をはじめとした「災害への対応」、年齢や属性などに関わらず「誰もが安心して暮らせていける環境整備」、様々な観点からの安全・安心なまちづくりを、本市における基幹として推進してまいります。

市民病院将来構想推進事業において、冒頭でも述べましたとおり、新病院の開院予定年度以降10年間の平均基準外繰出金を試算する将来予測を行い、その結果により経営形態の見直しについて判断し、持続可能な経営基盤の確立を目指します。

次に、成人保健対策事業においては、全国的に若年層の歯周病患者が増えていることから、20歳・30歳を対象とした歯周病疾患検診費用の助成を行い、切れ目のない歯科検診体制の構築による発症予防を推進します。

次に、予防接種事業においては、令和7年4月から帯状疱疹ワクチンが予防接種法上の定期接種となりますが、その対象者とならない50歳以上を対象に、ワクチン接種費用の助成を引き続き行い、発症予防を推進します。

次に、救急自動車購入事業及び高機能消防指令センター総合整備事業においては、高規格救急車及び消防救急デジタル無線の更新を行い、多種多様化する市民の救急需要に、迅速かつ的確に対応できる救急体制の充実を図ります。

次に、地域保健医療推進事業においては、急な病気やけがをした方が、電話相談窓口である#7119に電話し、看護師等の専門家によるアドバイスを受けることにより、適正な救急搬送・救急医療体制の充実及び市民の安全・安心の推進を図ります。

次に、明姫幹線南A地区配水管整備事業においては、水道配水管の耐震・老朽化対策を行い、将来にわたって安全・安心な水の供給を行う環境の整備を図るとともに、大規模地震や水道管破損による事故発生に備えます。

次に、生活困窮者自立支援事業においては、孤独・孤立の問題が一層深刻化しているなか、今年度に設置した福祉総合相談センター「だれでも立ち寄りステーション」において、地域コミュニティを形成する居場所づくりを更に推進し、ひきこもりや8050問題など複雑・複合化する生活課題への柔軟な対応が実現できるよう重層的な支援体制の構築と充実を図ります。

【3 安心して子育てができるまち】

三つ目の重点施策は、「安心して子育てができるまち」です。

冒頭でも述べましたとおり、若い世代の人口流出が続いているなか、若い世代が本市に住み続ける将来ビジョンを描くために、安心して子育て・教育ができる環境を整備していくことは非常に重要です。

近年は、社会環境が大きく変化しており、将来の予測が困難な時代を迎えております。このような時代において、私は、本市のこどもたちには、困難に遭遇してもそれを乗り越える力を身に着け、自身が望む未来を自ら創り上げるとともに、これからの社会を担う人材になってほしいと考えております。

今年度においては、総合教育会議で協議を行いながら、教育委員会が策定する第4期高砂市教育振興基本計画と並行し、令和7年4月から始まる新たな高砂市教育大綱の策定に向けて取り組んでまいりました。

教育大綱の基本理念には、ともに育み、ともに認め合い、未来へ繋がる「教育のまち高砂」を掲げております。そこには、地域、家庭、学校、行政が連携してこどもたちの成長を支え、大人も一緒に生涯にわたって学ぶ機会を大切にし、 学んだことを活かせるような社会をつくっていきたい、市として、全体が同じ方向を目指していきたいという私の想いを込めております。

この基本理念を実現するためには質の高い教育を行うこと、そのための必要な教育環境を創ること、こどもだけではなく生涯にわたって学ぶ機会を創ることが重要です。

小・中学校運営管理事業において、夏場の猛暑への対応が昨今の重点課題のひとつであったことから、12月定例会で議決をいただきました市内小中学校体育館への空調設備設置を進め、夏場における児童・生徒の体調管理や熱中症対策、また、災害時における避難所の環境改善を図ります。

次に、小・中学校施設建設事業においては、市内小中学校全校への安全配慮が必要であると判断し、外壁対策工事等を実施することにより、児童・生徒が安心して学べる安全で快適な教育環境を整備します。

次に、特別支援教育推進事業においては、特別な支援を必要とする児童・生徒が年々増加傾向にあるなか、介助員及びスクールアシスタントを増員し、学習面や生活面などへの個々に対する細やかな支援を行うための体制を整えます。

次に、小・中学校情報教育推進事業においては、国が推進する教育施策であるNEXTGIGAスクール構想に向けて、学習用タブレット及び授業支援ソフトの更新を行い、児童・生徒間の情報共有による協働的な学びの充実など、教育DXや情報教育を推進します。

また、生涯学習においては、連携協定を結んでいる甲南女子大学文学部との地域の活性化活動や、社会教育推進指導者養成研修で育成した人材に放課後子ども教室で指導者等として活躍する場を設けるなど、学習の循環に努めております。今後も、生涯にわたって学ぶ機会を提供することにより、主体的に学ぶ意思を持ち、学んだことを活かせるよう社会教育の振興を図ってまいります。

これらのハード・ソフト両面による体制強化を今後も継続し、「教育のまち高砂」の実現に向け、教育委員会とこれまで以上に連携を取りながら、こどもから大人まで、市民一人ひとりがイキイキと学び、高砂市の未来にワクワクできるよう高砂の教育を充実してまいります。

次に、母子保健事業においては、産後2週間及び1か月の、出産後間もない時期の産婦に対する健康診査への費用助成を行い、産婦と赤ちゃんの健康を守ることにより、安心して子育てができる環境を推進します。

次に、公立認定こども園建設事業においては、阿弥陀こども園の老朽化に伴う園舎建替え等整備工事を引き続き実施し、園児が安全・安心に過ごせる環境を整備します。

次に、保育環境改善事業においては、保育設備や遊具等の消毒・清掃、給食の配膳、寝具の用意、片付けといった周辺業務への人員配置に対する、市内民間認定こども園等への補助を行い、保育士の負担軽減による保育体制の強化を図ります。

次に、小・中学校給食事業においては、近年の物価高騰に伴う食材費の値上げに対する費用を市が負担することにより、保護者の負担軽減及び児童・生徒の健全な発達を図ります。

【4 その他】

次に、「その他」の重点施策です。

令和2年から令和5年までのコロナ禍は、人々の生活に大きな影響を与えた大変つらい期間でした。しかし、その期間に飛躍的に浸透したデジタル技術は、今後の行政サービスの進展において有効な手段となります。コロナ禍で培ったデジタル技術を活用するなど、3つの重点施策以外にも、市民の皆様の目線に立った行政サービスの提供を推進してまいります。

戸籍住民基本台帳事務事業において、これまで、主に市役所本庁舎で行っておりましたマイナンバーカードの更新・申請手続きについて、市役所職員が施設等へ出向き、出張申請を行うとともに、申請書作成支援システムを導入することにより、より便利で簡単な申請手続きを推進します。

次に、会計管理事務事業においては、公金収納のキャッシュレス決済対象を拡充し、より便利に納付できる環境を整備します。

次に、市内消費活性化事業においては、プレミアム付デジタル商品券事業を実施し、物価高騰に直面する市民生活の負担軽減及び市内事業者の経営支援を図ります。

次に、企画事務事業においては、デジタル地域ポイント事業により、デジタル技術を活用した情報提供やポイントシステムを通じて、地域に対する意識向上や活動の促進を図ります。

次に、市民相談事業においては、相続登記が義務化されたことに伴い、相続に関する相談が増加していることから、司法書士による相談を実施します。

次に、地域交流センター運営管理事業及び各地域交流センター整備事業においては、地域交流センター運営協議会への活動補助を行うとともに、設備更新等を行うことにより、交流センターの地域活動の拠点化及び地域活動の活発化を図ります。

4 その他の取組

その他、令和7年度予算案の主要な施策及び事業の概要を説明いたします。

子ども支援施策については、児童健全育成事業において、子ども食堂の開設・運営サポート等を行うコーディネーターを配置し、子ども食堂の発展を図ることにより、こどもだけでなく、地域の方々の居場所づくりを推進します。

教育施策については、小学校施設建設事業において、旧荒井幼稚園施設を荒井小学校の別棟として改修し、活用することで、児童がより快適に学べる教育環境を整備します。

福祉施策については、障害者自立支援事業において、放課後等デイサービスの最大支給量を引き上げることにより、支援を必要とする障がいのあるこどもへの発達支援の充実を図ります。

まちづくり施策については、明姫幹線南A地区汚水管整備事業において、汚水管渠及び雨水管渠の整備などによる下水道施設の老朽化対策を行い、公共水域の水質保全を図ります。

産業施策については、商業活性化事業において、アーチやアーケード、街路灯などの共同施設における、商店街・小売市場等が実施する建設・改修等の取組を支援することにより、商店街・小売市場の賑わい創出や活性化及びまち全体の魅力創出を図ります。

環境施策については、ごみ減量化再資源化対策事業において、生ごみの減量・リサイクルに効果のある電動式生ごみ処理機への購入助成を行うことにより、ごみの減量化・再資源化を推進します。

防災施策については、河川改良事業において、鹿島排水機場解体等工事を引き続き行い、松村川の流下能力向上を図ります。

移住・定住施策については、移住・定住・若者推進事業において、市内に在住する若年の独身者に対して、「ひょうご出会いサポートセンター」の登録料等の補助を行い、地域における少子化対策及び移住・定住促進を図ります。

文化・スポーツ施策については、海外姉妹都市交流推進事業において、海外姉妹都市であるラトローブ市へ市内中高生等を派遣することにより、異文化に対する理解と交流を深め、国際化に対応するための人材育成を図ります。

公共施設施策については、斎場整備事業において、斎場火葬炉設備を更新することにより、適切な管理運営を図ります。

5 むすび

どうか市議会議員の皆様におかれましては、本市発展のために共に考え、ご協力を賜りますようお願いしまして、令和7年度の施政方針といたします。

何卒よろしくお願い申し上げます。

令和7年度の主な取組

この記事に関するお問い合わせ先

総務部 秘書室

〒676-8501
兵庫県高砂市荒井町千鳥1丁目1番1号

電話番号:079-443-9000

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