こどもたちの未来のために、今、学校づくりを考える【市長 × 教育長対談】

更新日:2026年06月24日

こどもたちの未来のために、今、学校づくりを考える

高砂市では、児童生徒の学び舎であり、地域とともにある学校施設の安全安心を確保し、将来を担う児童生徒に最適な教育環境を持続的に提供することを目的として、「新たな学校づくり」を進めています。

なぜ今、新たな学校づくりが必要なのか。そして、未来を担うこどもたちのために、どのような学校を目指していくのか。都倉達殊市長と玉野有彦教育長が、その思いと展望について語り合いました。

なぜ今、新たな学校づくりが必要なのでしょうか

市長

「新たな学校づくり」を検討するうえで最も大切にしているのは、「こどもたちにとって最適な教育環境を確保すること」であると考えています。

現在、人口減少やAIなどのデジタル技術の進展、地域コミュニティの変化など、教育を取り巻く環境は大きく変化しています。こうした時代の中で、こどもたちが人生を切り拓いていくためには、他と関わりながら問題発見・課題解決する力などを育むことが大切だと考えています。

また、市内の学校施設の約6割が築40年を経過していて、老朽化への対応も大きな課題となっています。時代に合った学校施設の整備を進めると同時に、持続可能なまちづくりの視点も考えると、現在の体制のままでは、教育面・施設面の両方から、こどもたちにとって最適な教育環境を維持し続けることが難しくなっていくと考えています。

今、新たな学校づくりに取り組むことは、未来の高砂を担うこどもたちへの投資であり、将来の市民に対する責任だと考えています。

教育長

私も市長と同じ思いを持っています。教育的な観点から申しますと、高砂市の児童生徒数は1984(昭和59)年のピーク時から約57%減少し、40年後にはさらに半減する見込みとなっています。既に一部の学校ではクラス替えができない学年が生じており、こどもたちが多様な考えに触れ、切磋琢磨できる学習環境の維持が喫緊の課題となっています。

一方、社会変化の激しい時代の中、こどもたちが豊かな人生を送るためには、社会課題を自ら考え、他者と連携・協働しながら、粘り強く探究し、新たな価値を創造していく力を育んでいくことが重要だと考え、総合的な学習の時間において、「探究的な学び」を推進しています。

また、義務教育9年間の「学び」と「育ち」の系統性・連続性を重視し、各中学校ブロックの連携を図り、特色ある質の高い教育を推進しています。

こうした教育内容や教育方法と施設機能などを相互に関連付けながら、教育環境を一体的に構築する時期が、まさに今だと考えています。

これらの検討を進めるにあたっては、専門的知見や市民の皆さまのご意見を十分に伺いながら、これからの時代に本当に必要とされる学校の姿について議論を重ねてまいりたいと思います。

市長

市民やこどもたちの環境の変化に対する不安にはしっかりと寄り添いながら、それでも将来を担うこどもたちのための学校づくりを進めていきたいですね。

これからの学校には何が求められるのでしょうか

教育長

これからの学校では、従来の講義型の授業スタイルに加えて、一人一台端末を活用して、一人一人が学びたいことや理解度に応じて学ぶ「個別最適な学び」と、互いに対話し協力しながら学ぶ「協働的な学び」を一体的に充実させていくことが大切です。

また、自ら課題を見つけ、課題解決に向かっていく「探究的な学び」も大切となってきます。本市では、学校と民間企業、市役所などの官公庁、地域が連携・協働し、こどもたちの興味関心を高め、チームで探究し、成果を発表する高砂STEAM教育を展開しています。

これまでの教室は、教師が前に立って、同じ内容を一斉に教える箱型の空間をイメージして整備されてきました。しかし、これからの教室は、全体で、または個別で、グループで学習するなど、多様な形態で学ぶことができる空間のイメージが求められています。

その教室に隣接して、異学年交流やプレゼンテーションなど、いろいろな学習活動に柔軟に対応できる「オープンスペース※1」、図書や電子情報から得られる知識を活用して学習を深めることができる「ラーニングコモンズ※2」といった空間も必要となっています。

すべてのこどもたちの学びに向かう力を高める環境、それから、安心して学ぶことができる環境をつくることが私たちに求められていると思います。

※1 オープンスペース:教室に隣接または周辺に位置した開放的な空間で、少人数学習やグループ活動、発表、集会など、多様な学習活動に活用できる空間

※2 ラーニングコモンズ:図書機能やICT環境を備え、個別学習や調べ学習、グループ学習など、幅広く活用できる空間

市長

これからの学校は「地域とともにある学校」であってほしいと考えています。学校はこどもたちの学びの場であると同時に、学校と地域がつながり、みんなでこどもの成長を見守っていくところであってほしいと考えています。

地域の方々と関わり、多様な大人たちから刺激を受けることで、こどもたちの学びがより豊かなものになり、将来、地域や社会を支える人材へと育っていくことが大切だと思っております。

教育長

私も、地域とともにある学校づくりは大切だと考えています。

地域のさまざまな経験を持つ大人が学校に関わることで、こどもたちが学校の中では得ることのできない地域の歴史や文化、仕事の楽しさなどを学ぶことができ、魅力ある教育活動につながっていくと考えています。

市長

将来を見据えた持続可能な学校施設の整備を進めることで、こどもたちが自分の通う学校に誇りを持つとともに、地域の皆さまにも親しまれる学校となるようにしていきたいと考えています。

高砂市はどのような学校を目指しているのでしょうか

市長

高砂市の新たな学校づくりは、10年後、20年後を見据えながら、将来のこどもたちに責任ある学校配置を行い、将来にわたって質の高い教育が提供できる環境を整えていきたいと考えています。

そこで、今年3月に公表した方向性では、今後の学校配置の基準となる「適正規模」と「適正配置」をお示ししました。

まず「適正規模」ですが、一定数のこどもたちが切磋琢磨したり、多様な考えを理解したりしながら集団で生活し、学び合う環境を確保することが重要だと考え、1学級35人を前提として、小学校で12学級から24学級、1学年あたり2学級から4学級、中学校で12学級から18学級、1学年あたり4学級から6学級としています。

次に「適正配置」ですが、通学距離と通学時間で表し、小学校はおおむね4km・60分以内、中学校はおおむね6km・60分以内としています。ただし、遠距離では、地域の実情を踏まえ、こどもたちの負担軽減策を検討していきます。

こうした本市における「適正規模」と「適正配置」は、国の基準や令和6年に実施したアンケート調査の結果を基に審議会※3でも議論していただき、本市としても適切だと判断したものになります。

※3 審議会:高砂市新たな学校づくり推進審議会(高砂市の新たな学校づくりに関する事項について、教育委員会からの諮問に応じて審査・審議する附属機関)

 

小学生の通学がおおむね4km・60分以内というのは、アンケート調査の結果より負担が大きい基準となっていますが、なぜでしょうか。

市長

たしかに、本市が示した基準とアンケート調査の結果に一定の差がありますが、4kmは高砂市内の市域全体を覆うほどの範囲でもありますので、学校再編を行ったとしても、小学生が実際に4kmを歩いて通学するようなケースはないと考えています。

現時点で何km以上から負担軽減を行うといった明確な基準を定めているわけではありませんが、今後、学校再編の具体的な検討を進める中で、さまざまな観点から総合的に判断をし、必要に応じてスクールバスの導入の検討といった、こどもたちが安全安心に登下校できる環境を整えていきたいと考えています。

 

小規模校には、アットホームで一人一人に目が届くという良さもあると思いますが、高砂市が目指す「適正規模」では、それはなくなってしまうのでしょうか。

教育長

小規模校については審議会でも議論いたしましたが、市民への意見聴取の場でも多くのご指摘をいただいており、皆さまの関心が高いテーマだと認識しています。

国では11学級以下の学校が小規模校とされていますが、児童生徒一人一人に目が届きやすく、きめ細かな指導が行いやすいことや、児童生徒の人間関係が深まりやすいといった「よさ」がある一方で、集団の中で多様な考え方に触れる機会や互いに学び合いながら切磋琢磨する機会が少なくなりやすいこと、人間関係や個人の評価が固定化しやすいなどの課題も指摘されています。

また、小規模校では、学級数の減少により配置される教職員の人数が減るにも関わらず、学校全体の業務量が比例して減るわけではありません。教職員一人あたりの業務負担は相対的に大きくなる傾向があります。

そのために、地域の皆さまから求められているきめ細かな指導を実現していくためには、小規模校という形ではない指導体制の工夫をしたいと考えています。

現在においては、1つまたは複数の学級を分割して少人数のグループで授業を行う「少人数指導」や教科ごとに専門の教員が複数のクラスの授業を担当する「教科担任制」を導入しています。

また、1つのクラスに1人の担任を固定せず、複数の教員がチームとなって学年全体や複数のクラスを受け持つ「チーム担任制」の導入・検討も全国的に進んでいます。

こうした点を踏まえ、指導体制について、市長はどのようにお考えでしょうか。

市長

私は、こどもたちへのきめ細やかな指導は非常に重要であると考えています。一方で、教職員不足という課題もあるため、小規模校の維持、少人数学級の導入に限るのではなく、「少人数指導」や「教科担任制」などを組み合わせていくことが現実的かつ効果的な方法であると考えています。

教育長

情報化、少子化などの変化の激しいこれからの社会を生き抜くためには、「自ら学ぶ力」(主体性)と「仲間と学ぶ力」(社会性)を育てたいと考えています。

そのために、小学校6年間、中学校3年間で区切って指導するよりも、9年間連続したカリキュラムで指導した方が成長すると思っています。学校再編についても、小中学校各々の学校規模を確保した上で、同一敷地内、もしくは別の敷地であっても施設相互間の距離をできるだけ短くなるように検討したいと考えています。

また、ICTを効果的に活用した「個別最適な学び」と「協働的な学び」の充実、企業や行政、地域と連携・協働した「探究的な学び」の推進ができるように、教室や周辺のスペースなどの環境整備を目指したいと考えています。

さらに、特別な支援を必要とする児童生徒、不登校傾向でクラスで生活しにくい児童生徒など、こどもたちの特性を踏まえた多様な学びの場や居場所を生み出すことができるようにと考えているところです。

市長

本市における小中一貫教育の推進については、さらなる調査・研究を重ね、一緒に検討を進めていきましょう。

教育長

「連続性」をキーワードに、一貫教育に取り組んでいきます。

 

他にはどのような新たな学校づくりを進めるべきだとお考えでしょうか。

教育長

児童生徒が快適に学び過ごすことができる多目的スペースの確保や、ロッカーや机の規格の適正化、教室面積の見直しや教室以外の居場所などの環境整備も重要であると考えます。

また、教職員の働きやすい環境づくりも欠かせません。例えば、職員室内に打合せスペースを確保するなど、業務の効率化やコミュニケーションの円滑化を図ることが、結果として教職員がこどもたちと向き合う時間の確保や教育の質の向上につながるものと考えています。

さらに、防犯カメラの設置などによる安全性の確保やユニバーサルデザインによる誰もが使いやすい学校施設を検討するとともに、老朽化対策についても学校の再編時期やコスト等を総合的に勘案し、効果的な整備方法を選択しながら進めていきたいと考えています。

市長

学校と地域の連携について、地域交流センターや図書館など、学校以外の公共施設についても互いにメリットを感じられる施設・機能は複合化または共用化を行い、地域とより良い関係を築きながら持続可能な教育環境を確保していきたいと考えています。

さらに、大規模災害時には学校が地域住民の生命と安全を守る拠点として重要な役割を担うため、防災備品の置き場所の確保など災害対策の向上も目指していきたいと考えています。

このように、まちづくりと一体となった地域とともにある学校づくりを進めることで、こどもたちが地域に愛着を持ち、将来にわたって持続可能な公共施設として次の世代へ引き継いでいける学校を目指していきます。

メッセージ

教育長

こどもたち一人一人が、自分らしく学び、成長していくことができる環境を整えていくことが、私たち教育に携わる者の責務であると考えています。

こどもの「今」と「未来」を幸せにするために、誰一人取り残されることのない、こどもが主役の学びを進め、希望と感動にあふれる教育活動を、地域とともに取り組んでいるところです。

また、新たな学校づくりについては、こどもたちにとってより良い教育環境とは何かという視点を大切にしながら、こどもや教職員、市民の皆さまとともに丁寧に検討を進めてまいります。

未来を担うこどもたちのために、引き続きご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

市長

これからの高砂市の未来を考える上で、こどもたちの教育環境をどのように整備していくかは、非常に重要なテーマであると考えています。こどもたち一人一人が安心して学び、自分の可能性を伸ばしていける環境を持続的に確保していくことは、私たちの大きな責任です。

学校はこどもたちの学びの場であると同時に、地域コミュニティの場としての役割も担う存在であると考えていますので、新たな学校づくりにおいては、教育の質の向上はもとより、地域とともにある学校として、まちづくりの視点も大切にしながら検討を進めてまいります。

また、本市では「市民とともに考える」という姿勢を大切にしています。これからも、市民の皆さまのご意見をお伺いしながら、将来にわたって持続可能で、こどもたちにとって最適な教育環境の実現に向けて取り組んでまいりますので、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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